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SNCFがストに突入

フランスの国鉄(SNCF)が4月2日夜、3カ月間(つまり6月いっぱいまで)の予定で大規模なストライキに入りました。フランスの風物詩とも言えるストですが、このストはマクロン大統領が推し進める労働改革に異議を唱えるためです。大統領就任以降、最大のものとなる見通しで、フランス全土で交通の混乱が予想されています。

 

SNCFでは多額の債務が経営の重しになっているにもかかわらず、SNCFの職員はかなり厚遇されており、毎年自動的に賃金が引上げられ、また退職年金の早期の受給や有給休暇、雇用保障に関しても特権があります。また近親者は無料で鉄道が利用できます(エール・フランスにもこの制度があり、友人の母親がエール・フランスで働いているのですが、友人は無料航空券で世界のあちこちを旅行していました)。マクロン大統領は、このようなSNCFの優遇措置を段階的に廃止したいと考えています。さらには欧州連合(EU)の基準に沿う形で、2023年からの鉄道部門への競争導入を目指しています。

 

実はフランスの労働組合員は労働者のわずか11%強にすぎず、フランスは組合組織率がEUの中で最も低い国のひとつ。つまり労働組合はこれまで組織率以上に大きな政治的な影響力を持ってきたわけです。それゆえ今回のストは、フランスの労働組合にどれほどの力があるのか試されています。3月22日の「フィガロ紙」の世論調査によると、鉄道員の優遇措置撤廃を支持する人々は59%で、理解を示す人々の割合を上回っています。ストライキと同様、デモも今も盛んですが、動員規模や政治的な影響力は近ごろは退潮傾向にあるようです(写真は1891年の交通機関のスト)。

 

1891 - Grève des transports.jpg
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le 10 avril 2018
cyberbloom

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