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女優ジャンヌ・モローの死

フランス映画を代表する女優ジャンヌ・モローが、7月31日、パリ8区のフォブルール・サントノレ通りにある彼女の自宅のアパルトマンで亡くなっている状態で発見されたそうです。享年89歳でした。

 

ジャンヌ・モローは、1928年1月23日レストラン経営者の父、イギリス人ダンサーの母のもと、パリで生まれました。舞台女優や歌手としても活躍した彼女は、生涯に130本もの映画に出演していますが、とりわけ、男ふたりと女ひとりの三角関係を描いたフランソワ・トリュフォーの「突然炎のごとく」Jules et Jim(1957)、マイルス・デイヴィスの気怠いトランペットに導かれるサスペンス、ルイ・マルの「死刑台のエレベーター」Ascenseur pour l’échafaud(1962)が代表作と言えるでしょう。

 

個人的にはリュック・ベッソンの「ニキータ」Nikita(1990)が印象深く、主人公のニキータが暗殺者としての訓練を受ける過程で、彼女に、女性としての魅力を高めること、そしてそれを武器にすることを教える元工作員のアマンドを演じるジャンヌ・モローの圧倒的な存在感が忘れられません。ニキータに口紅を塗るように促し、二人で鏡を覗き込みながら、アマンドが言うセリフは、女性ならよくわかるのでは。

 

「喜びに、あなたの女性としての喜びに身を任せて…そして忘れないで。際限のないものが二つあるわ、女性としての美しさとそれを乱用する方法よ。」
«Laisse-toi guider par le plaisir, ton plaisir de femme…Et n’oublie pas. Il y a deux choses qui sont sans limite, la féminité et les moyens d’en abuser »

 

ジャン=ジャック・ベネックスの「ベティ・ブルー」37°2 le matin (1986)でも、理解不能な女性に振り回されるイケメン優男を演じたジャン=ユーグ・アングラードが、ここでも男の弱さをうまく醸し出してまいす。

 

「クロワッサンで朝食を」Une Estonienne à Paris (2012)がジャンヌの遺作となってしまいましたが、エマニュエル・マクロン大統領は「その複雑さ、記憶、要求の高さによって、映画というものを具現化していた一人のアーティストがいなくなった」と彼女を讃えました。

 

le 31 juillet 2017
cyberbloom

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