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Column de saison

夏はロバボンで冷たいペリエを!

フランス生まれの果汁入り炭酸飲料「オランジーナ」が2012年3月27日から日本で発売され、すでに炭酸飲料の定番になりつつあります。フランスでは国民的な炭酸飲料水として知られていますが、「オランジーナ」は名前の通り、かんきつ類(オレンジ、レモン、マンダリン、グレープフルーツ)から作られています。果汁率は12%で、オレンジの皮から抽出したオレンジピールエキスと果実繊維も入っています。開発したのはヴァレンシア出身のスペイン人化学者トリゴ博士。それは1933年にさかのぼります。そのコンセプトをアルジェリア系のフランス人、レオン・べトンが買い取り、フランス植民地下のアルジェリアで販売を始めました。彼はアルジェリアが独立した1962年からフランスに移り、会社を設立しました。フランスでは「バルビーボトル」と呼ばれる、丸みを帯びた瓶が親しまれ、カフェの風景になじんでいます。オランジーナは2009年以来、日本の飲料メーカー、サントリーの傘下に入っており、日本での発売もそのせいでしょう。今年の3月末には「レモンジーナ」も発売されました。ちょっとフランス語的には変な名前なのですが。

 

一方、パリのカフェの写真があるとすると、テーブルの上には、十中八九、緑のボトルの炭酸水がさりげなく置かれているはずです。フランスのカフェの定番、ペリエです。こちらは甘くない、炭酸ガス入り (gazeuse) のミネラル・ウォーターです。日本のバブル期、80年代のカフェバー・ブームの際には、ペリエはお洒落な飲み物として脚光を浴び、日本人が始めて水に対して金を払ったと言われました。競馬好きの方は、ペリエと言えば、どんな駄馬も1着にもってくる、「ペリエ・マジック」で名高いフランス人の騎手を思い出すかもしれませんが、あれは Peslier と綴り、炭酸水の方は Perrier です。ペリエは南フランスのヴェルジェーズに源泉があります。地殻変動で地下水と天然ガスが偶然に結合し、発泡する天然水が産まれました。まさに奇跡の水というわけです。

 

炭酸水は適度に胃腸を刺激し、適度なミネラル成分もお腹をユルくしてくれ、ダイエットにも良いようです。しかし、甘くない炭酸水はあまり日本には定着しませんでした。ペリエが80年代に一時的に流行ったのも、味覚よりは、おそらくはペリエのデザイン性の高いクールなボトルのせいでしょう。最近はいろんなメーカーが甘くない炭酸水を売り出していて、今度こそ炭酸水が日本に定着するのか見物ですね。

le 20 juillet 2015
cyberbloom

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