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ルーヴル美術館で「フェルメールと風俗画の巨匠たち」展

2017年2月22日から5月22日までパリのルーヴル美術館で、ヨハネス・フェルメール(1632年-1675年)の人物像を紹介する展覧会が開催されます。謎が多いため「デルフトのスフィンクス」と呼ばれ、「真珠の耳飾りの少女」や「牛乳を注ぐ女」を描いたことで有名ですが、元々ルーヴル美術館には「レースを編む女」と「天文学者」が所蔵されています。この2点に加え、アイルランド・ナショナル・ギャラリー、ワシントン・ナショナル・ギャラリーの協力を得て、世界中から合計12点もの作品が展示されるのです。フェルメールの生涯作品数は35点前後と言われていて、これだけの作品がパリに集結するのは1966年以来とのこと。

 

フェルメールの活動期間であった1650年からの25年間、オランダ連合州は海上帝国時代で、植民地を拡大し、ヨーロッパでも最も富裕な国で、さらには世界経済の中心として繁栄した時期でした。「天文学者」「地理学者」といった学者の肖像は17世紀のオランダ絵画で好まれたモチーフで、学者は真実を追究する人間の象徴です。芸術や文化が栄えていた時代だからこそ、このような傑作が生まれたのでしょう。

 

ところで展覧会でフェルメールとともに取り上げられるヘラルト・ドゥやヤン・ステーンといった17世紀オランダ黄金時代に活躍した風俗画の巨匠たちは、オランダ連合州の異なる町でそれぞれ制作活動をしていたにも関わらず、彼らの作品の間には、画風、主題、構成、画術において強い類似性が見られるそうです。

 

生前に高い評価を受けず、謎めいた画家のイメージのあるフェルメールが同時代の作家からどのような影響を受けていたかを知ることができることは大変興味深いことです。またフェルメール・ブルーと呼ばれる印象的な青を用いたフェルメールの世界は一体どのように生まれたのかを垣間見ることのできる絶好の機会となることでしょう。

 

Jan Vermeer van Delft 009

le 10 mars 2017
cyberbloom

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