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カンヌ国際映画祭

カンヌ国際映画祭 Festival International du Film de Cannes は先週末の24日に授賞式が行われ、最優秀賞のパルム・ドールには、フランスのジャック・オディアール監督の作品「ディーパン」が選ばれました。期待されていた日本の是枝裕和監督の作品「海街diary」(吉田秋生の漫画が原作)の受賞はなりませんでした。一方、個性的で斬新な作品を集めた「ある視点」部門で黒沢清監督の「岸辺の旅」が監督賞を受賞しました。日本映画の評価が年々高まっているのも嬉しいところです。

毎年5月中旬から下旬にかけて、フランスの地中海沿いの町、カンヌで国際映画祭が行われます。カンヌ映画祭はベルリン国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭と並ぶ、世界三大映画祭のひとつです。1930年代後半、ムッソリーニのファシスト政権の介入を受け、次第に政治色を強めたヴェネツィア国際映画祭に対抗するため、フランス政府の援助を受けて開催される事になったのが始まりです。1939年から開催の予定だったが、当日に第二次世界大戦勃発のため中止になり、終戦後の1946年に正式に開始されることになりました。創設以来、カンヌ映画祭は、開催目的を忠実に守り続けています。それは、映画の発展に貢献するために作品を紹介し、援助すること、世界中の映画産業の発展に対して助力を惜しまないこと、第7芸術 Septième Art を国際的に称揚することです。

国際映画祭の中でもカンヌがひときわ注目される理由は、国際見本市が同時に開かれ、そこには毎年800社、数千人の映画製作者、バイヤー、俳優が集まり、世界各国から集まる映画配給会社へ新作映画を売り込むプロモーションの場となっているからです。とりわけ、世界三大映画祭と世界三大マーケットが同時に開催されるのはカンヌだけなので、世界中のマスメディアから大きな注目が集まるのです。

少しわかりにくいのは、カンヌ映画祭の賞の位置づけでしょうか。カンヌ映画祭には「グラン・プリ grand prix 」という賞もあるのですが、いろいろ経緯があって、現在は最高賞がパルム・ドール Palme d’or 、次点の賞がグラン・プリです。パルムドールは「金のシュロ」の意味で、シュロの枝はこの映画祭のトレードマークになっています。またカンヌ映画祭では審査員が毎年変わります。審査員は各国の映画監督や、作家、俳優たちがつとめます(今年はロキア・トラオレというアフリカ・マリの女性ミュージシャンも名を連ねていました)。審査員陣のカラーが賞の行方を大きく左右するので、メディアの批評はあまりあてになりません。下馬評は高かったのに結局何の賞も取らなかったということも往々にしてあるのです。

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2015 Cannes Film Festival poster
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le 25 mai 2014
cyberbloom

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