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名前が語るお菓子の歴史(2)

前回から間が少し空いてしまいましたが「名前が語るお菓子の歴史」の一節に出てくるお菓子の名前の解説を続けましょう。

 

サントノレSaint Honoré
御存知のようにサントノレ通りは、フランスの高級ブランド店が並ぶブティック街。1847年にサントノレ通りにあった有名なケーキ屋さんシェ・シブストで考案されたため、この名前がつけられたという説と、パン職人と菓子職人の守護聖人であるサントノレ(聖オノレ)に由来するという説がありますが、その両方だとする説も。このケーキ屋さんの若きシェフ、オーギュスト・ジュリアンの作品ということですが、初めはカスタードクリームのつまった大きなブリオッシュのようなものだったそうです。パイ生地の土台の上にカスタードクリームにイタリアン・メレンゲを合わせたクレーム・シブスト(クレーム・サントノレとも呼ばれる)が詰められカラメルを塗られた小さなシュークリームをいくつものせ、クレーム・シャンティイを渦巻状に飾り付けたお菓子。⇒ルイ・ヴィトンによるサントノレのいろいろな有名店のバージョン紹介

 

パリ・ブレスト Paris-Brest
パリ・ブレストは王冠の形をしたシュー生地を上下にスライスして、その間にプラリネ入りバタークリームを挟んだフランスのお菓子。薄切りアーモンドと粉砂糖を振り掛けてあります。1891年に始まったパリ・ブレスト・パリ間を走る自転車レースの創始者ピエール・ジファールが、レースを記念してメゾン・ラフィットの菓子職人ルイ・デュランに自転車の車輪の形をしたお菓子を作ってくれるよう頼んで1910年に出来上がったそうです。

 

サブレ Sablé
サブレと聞くと「鳩サブレ」か「ココナツサブレ」を思い出してしまうのですが(笑)、サブレ・シュール・サルトという町で1670年に作り出されたという、れっきとしたフランスのお菓子です。小麦粉、バター、砂糖(卵黄を入れることも)などを手早く「砂のようにさっくりとsableux女性形 sableuse 」するまでかき混ぜ、丸く型抜きして焼いたお菓子ですが、ビスケットよりもさくさくしています。17世紀にサブレ侯爵夫人が、ルイ14世の宮廷にこのお菓子を持ち込んだからとする説もあります。

 

 ピティヴィエ Pitiviers
ピティヴィエはロワレ県のピティヴィエという町発祥の郷土銘菓です。17世紀にパイ生地が発明されたことで生まれました。パイ生地の間に詰まっているのは、ローマ時代に生まれたと言われるアーモンドクリーム。この地方では公現祭の時ガレット・デ・ロワでなく、このピティヴィエが供されるそうです。ガレット・デ・ロワはフランス北部で供されピティヴィエと似ていますが、使われているのはカスタードクリームで、中にフェーヴ(陶製の小さな人形など)が隠されていましたね。

 

ナンテ「ナントの人」 Nantais
ナンテというお菓子は18世紀にアンティーユ諸島からサトウキビ、琥珀色のラム酒、バニラがナントNantes(nantaisはこの形容詞形)にやってくるようになったおかげで生まれたようです。表面にラム酒のきいた白い糖衣がかかっていて、アーモンドが入っているバターたっぷりのしっとりしたスポンジのお菓子です。レモンの香りも素敵ですね。

 

トロペジアン「サントロペの人」 Tarte tropézienne
タルト・トロペジアン La tarte tropézienne (サントロペ Saint-Tropez の形容詞形)、サントロペの名物ケーキです。ブリオッシュ生地にカスタードクリームとバタークリームを混ぜたものがたっぷり挟まっていて表面には白い粉砂糖がふりかけられています。1950年代の初めプロヴァンス地方にやってきたポーランド出身の菓子職人 Alexandre Micka が、サントロペにパンとお菓子を売るお店を開きました。彼はそこで、ポーランドの彼の祖母に教わったクリーム入りのブリオッシュ生地のタルトを売り始めます。1955年にサントロペで、ロジェ・ヴァディムが「そして神は…女性を創った」という映画を撮りますが、Alexandre Micka はスタッフたちの食事係りになります。ブリジット・バルドーに彼のタルトを紹介したところ、「サントロペのタルト Tarte de Saint-Tropez 」と名づけるよう提案したそうです。そこで彼は Tarte Tropézienne という名前にしたとか。ちなみにレストラン「La Tarte tropézienne」は今もサントロペにあります。

 

 2回にわたるフランスの有名なお菓子の解説、いかがでしたか?これらのお菓子、レシピを見ながら自分で作ってみるのも楽しいですね!

Saint-honoré (pâtisserie)
Saint Honoré By Chatsam (Own work) or CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

le 28 fevrier
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