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ルーブル・アブダビとフランスのブランド力

11月11日、UAE のアブダビに、パリのルーヴル美術館の初の海外分館、ルーヴル・アブダビがオープンしました。設計はフランスのジャン・ヌーヴェルが担当しました。約8,000個のメタル製の星が複雑に絡み合った直径180メートルのドームの下を歩くと、強い砂漠の太陽の光が、オアシスに茂るヤシの葉から落ちる木漏れ日を思わせる「レイン・オブ・ライト」(光の雨)となって降り注ぎます(下の動画をご覧ください)。

 

アブダビは5億ドル以上を支払って、30年以上、パリの有名な美術館の名前「ルーヴル」を使用する権利を得ました。また同じように、上海でポンピドゥー・センターの分館の建設が計画されています。フランスといえば、19世紀にナポレオンがヨーロッパをほぼ征服し、フランス語圏はカナダやアフリカにまで拡大しましたが、今はそのブランドの名前によって世界を席巻しています。

 

神戸の某女子大で教えていたとき、2000年ころでしょうか、クラスの全員がルイ・ヴィトンのバックを持っていた時期がありました。ヴィトンは富裕層向けのアイテムから、アジアにもターゲットを広げ、誰もがひとつは持てるアイテムになりました。それによってブランド価値がさがるどころか、ますます価値を高めています。その名前がフランスという国や首都パリと強力に結びついてブランド力を発揮する。こんな国はほかにはありません。そしてその多くが人の名前です。

 

フランスは、英語に対抗し、フランスとフランス語のブランド力の拡大のために、フランスは国を挙げてバックアップしているわけではありません。フランスは財政的に苦しく、文化の保護に充てる予算は年々減らされています。それは民間企業の戦略と努力によるものです。ルーヴル・アブダビ計画の立ち上げの際には、フランスの文化遺産の商業化を批判する声もあったようですが、背に腹は代えられないようで、今では、美術館や高級品の名前をビジネス化し、フランス文化を世界に伝えようとする努力を見守る以外はないようです。

 

近年ではITや起業においても注目されるフランスですが、この分野でも新たな「名前」が生まれるのでしょうか。

 

le 30 novembre 2017
cyberbloom
 

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